基調講演・招待講演:
・溝口 照康 氏(東京大学)AI駆動型物質研究:原子シミュレーションから逆設計・AIエージェントへ講演概要:溝口照康氏
近年,機械学習や生成AI,大規模言語モデル(LLM)の発展により,物質・材料研究の方法論そのものが大きく変わりつつある.本講演では,機械学習ポテンシャルを用いた原子シミュレーションから,生成AIによる所望の物性を有する材料構造やスペクトルからの原子構造の逆設計,さらにLLMと計算・解析ツールを連携させたAIエージェントによる物質探索まで,我々の最近の取り組みを紹介する.これらを通して,AIが物性を「予測する」だけでなく,材料を「設計し」,さらに研究プロセスそのものを「自律的に進める」方向へ発展しつつある物質研究の新しい可能性について述べる.
・木須 隆暢 氏(九州大学大学院システム情報科学研究院長 / ムーンショット型研究開発事業(目標10)プロジェクトマネージャー)
機械学習と高速Ic計測が拓く高温超伝導線材の高品質・長尺化 ― ムーンショット目標10による核融合炉実現に向けて ―
講演概要:木須隆暢氏
高磁場小型核融合炉の基盤技術として期待される高温超伝導薄膜線材において、性能を支配する臨界電流(Ic)は成膜時の多数のプロセス因子に依存し、その最適化が課題である。本講演ではムーンショット型研究開発事業(目標10)「多様な革新的炉概念を実現する超伝導基盤技術」の概要とともに、非接触・高速な長尺Ic計測、プロセスコンビナトリアル試料、機械学習を組み合わせることにより、プロセス条件と特性の相関を可視化・予測する取り組みを最新成果を交えて述べる。
・辺見 努 氏(量子科学技術研究開発機構)ITER TFコイルで得られた経験と将来の核融合炉に向けた超伝導技術 講演概要:辺見努氏
ITERトロイダル磁場(TF)コイルは、高さ16.5 m、幅9.2 m、重量310 tに達する世界最大級のNb₃Sn超伝導マグネットであり、その開発を通じて大型超伝導マグネットの実現に必要な多くの知見が蓄積された。本講演では、ITER TFコイルおよびJT-60SAの開発経験をもとに、超伝導導体、電気絶縁、電磁力支持構造、製造技術、品質保証などの観点から得られた知見を紹介する。さらに、将来の核融合炉で求められる高磁場・大型超伝導マグネットに着目し、材料技術、超伝導コイル技術および信頼性向上に向けた課題と今後の展望について述べる。
・Marcela Calpa 氏(物質・材料研究機構)Mn-Based Disordered Rocksalt Cathodes as Earth-Abundant Cathode Materials for Lithium Batteries講演概要:Marcela Calpa氏
Developing high-capacity cathodes from earth-abundant elements is an important challenge for lithium batteries. This talk discusses the potential of disordered rocksalt structures and the factors governing their electrochemical performance.
・秋山 守人 氏(産業技術総合研究所)窒化物半導体の進展と展開]講演概要:秋山守人氏
窒化物半導体は、LEDから発展し、現在では高周波デバイス、強誘電体メモリ、パワーデバイスなどの幅広い分野で重要性を徐々に高めてきている。産総研(STRI)では30年以上にわたり、反応性スパッタリング法を用いた窒化物半導体薄膜の研究開発を行ってきており、ScAlNやScGaNなどの複合窒化物の圧電性・強誘電性向上や分極制御に関する研究成果を報告している。近年は中間層の導入により高Sc濃度ScAlN・ScGaNの作製に成功し、圧電特性向上や低電圧駆動メモリへの応用可能性を高めてきており、MgAuの共添加によるAlNの高導電化も示している。これらの進展を基に、高周波フィルタ、メモリ、パワーデバイスなど次世代デバイスへの今後の展開について紹介する。